2021年夏休み子どもむけワークショップの記事のほか、hontoのmanabiの発足のきっかけや教育に懸ける思いが特集されています。豊かな心や自己肯定感を育みたいというスタッフの思いを、取材していただきました。
2021年8月28日(土)MGプレスより抜粋
豊かな心を育む 楽しい学びの場 hontoのmanabi
夏休みの一日。公民館の一室に子どもたちの元気な英語の歌声が響き、韻を踏んだ独特な詩が流れる。工作タイムには全員が作業に集中し、部屋中に静寂が広がった。
松本市や近郊で、子ども向けのワークショップを展開する「hontoのmanabi(ホントのマナビ)」。現職教員など3人が昨冬に立ち上げ、今春から月1回のペースで市内外を会場に活動している。
教科の垣根を越えた創造的な活動で、真に楽しいと思える学びの時間を過ごそうーというのがコンセプト。合言葉は「It’s okay to be different(人と違っていていいんだよ)」だ。
豊かな心や自己肯定感を育みたいとの思いが詰まった講座を訪ねてみた。
教育に懸ける強い思い
<学校とは異なる学びのスタイル>
8月初旬の3日間、松本市内の公民館でhontoのmanabiが開いた「なつやすみワークショップ」。「マザーグースと遊ぼう」「自分の名前を絵にしよう」「自分だけの色をつくろう」。わくわくするタイトルが並ぶ。小学生のほか、授業の参考に-と、教員を含む約20人が学校の授業とはまったく違うスタイルの課題に楽しみながら取り組んだ。
初日は、英語圏で童謡として親しまれるマザーグースをテーマに、英語、国語、図工を横断的ミックスした内容。英語の歌で体を動かしながらウォーミングアップ。マザーグースの詩の一つで、次々と言葉が積み重なっていく「The House that Jack Built (ジャックの作った家)」の朗読を聞き、英語詩ならではの韻や音の響きに耳を傾ける。
後半は、詩に出てくる動物らを描いたマトリョーシカ風の作品を紙に切ったり色を塗ったりして製作。詩も暗記し、発表した。
参加した宮下花さん(10)は「ジャックの話や、いろいろな色を使って塗るところが楽しかった」。小池萌香さん(7)も「英語は初めてだったので難しかったけど、工作は楽しめた」と笑顔を見せた。
<教員経験生かし得意分野で講座>
hontoのmanabiのメンバーは、小澤和子さん、髙谷奈央子さん、横田みゆきさん。全員が教員の免許を持ち、市内の私立学校で知り合って意気投合した。年齢やキャリアはさまざまだが、教育に懸ける思いは強く、それぞれの得意分野や経験を持ち寄り、毎回オリジナルのワークショップを作り上げている。
小澤さんは、少人数教育や総合的な学習に力を入れる「聖ステパノ学園」(神奈川県)に長年勤務。図工・美術が専門で、「子どもたち一人一人が自分らしく、創造する楽しさや喜びを知ってほしい」との思いがある。
英語教諭の髙谷さんはこの日、3人の自己紹介やマザーグースの詩の朗読を流ちょうな英語で担当。「聞いたり書いたりするだけでなく、創作で手を動かすことで、親しみを持ってもらえたら」。家庭科が専門の横田さんは、母親としての立場からも「生きていく上で欠かせない知識で意義がある」とする家庭科を今後、何らかの形で取り入れていきたいと意気込んでいる。